為替操作とは、各国の政府・財務省などの通貨当局が行う為替介入のうち、特に「自国の輸出に有利になるよう通貨安へ誘導する介入」のことをいいます。一般的な用語として国際会議等で使用されることもあります。また近年では、米国財務省の報告に基づいて米国議会が一方的に認定する「為替操作国」がよく話題になります。
2020年1月に米国財務省が公表した為替報告書によると、日本は米国が為替操作国に認定する前段階の「為替監視リスト」に入っています。日本以外に監視リスト入りしている国は、中国・韓国・ドイツ・アイルランド・イタリア・スイス・ベトナム・シンガポール・マレーシアの9か国です。2019年8月、米中貿易摩擦の最中で中国は一旦「為替操作国」に認定されましたが、2020年1月の貿易合意を受けて解除されています。
米国の為替監視は「米国に対する貿易黒字が年200億ドル以上」「為替介入による外貨購入が過去1年で6か月以上かつ国内総生産(GDP)の2%以上」「経常黒字がGDP比で2%以上」の基準で行われています。このうち2項目に該当すれば「監視リスト」入り、3項目全てに該当すれば「為替操作国」に認定される可能性があります。
国際金融秩序において、各国が通貨安を競い合うのは望ましいことではないと考えられています。G20サミットの首脳宣言などで「為替操作は避けるべき」という文言が盛り込まれたこともあります。近年では、為替操作ととられかねない通貨安目的の為替介入は避けられることが多く、その代わりとなっているのが大規模な金融緩和です。例えば、黒田東彦総裁率いる日本銀行が行った「異次元緩和」も、その最大の効果は「通貨安を通じて、世界経済の成長を取り込んだこと」といわれています。
作成日
:
2021.08.02
最終更新
:
2024.11.15
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