PBR(Price Book-value Ratio)は、株価が純資産の何倍になっているかを表す株式の評価指標で、日本語で株価純資産倍率と訳されます。株式時価総額をその企業の純資産(総資産簿価)で割って算出します。基本的に、PBRが低い方が純資産に対して株価が低く割安ということになり、高い方が割高ではあるものの株価が高く評価され投資家の期待が大きい銘柄であるということになります。
例えば、株式時価総額が12億円の企業で、純資産が10億円だった場合、PBRは「12 ÷ 10」で1.2倍となります。
企業の純資産は、その企業が事業を終了して解散する際に売り払って現金化できるもので、企業の資産価値(解散価値)といえます。すなわちPBRが1倍だと株価と1株当たりの資産価値が同じということになり、PBRが1倍を切れば株価を資産価値が上回るので、その会社は事業をやめて解散した方が株主にとっては有利ということになります。
ただし、事業が順調に行われ利益が出ているのであれば解散した方が有利ということにはなりません。PBR1倍の状態は、株価が不当に低く抑えられて割安ということになり、底値の目安として意識されることがあります。しかし、長い間1倍を下回ったままの銘柄も少なくありません。PBRが異常に低い状態が続くということは、多くの投資家がその株価水準が本来の企業価値を表しているという判断を下しているともいえ、市場の意見が正しいこともあり得ます。
業種や国によってPBRの水準は大きく異なります。例えば、銀行はPBRが低い産業の代表格ですが、これは銀行の資産が設備などの固定資産ではなく、貸付金(融資残高)が多くを占めていることによります。PBR1倍以下を割安と考えるなら、買われて株価が上がる可能性もありますが、実際にはPBRが低いままとなっています。純資産を解散価値とするなら、銀行が解散するような状態では貸付金もほとんど貸し倒れになると想定され、簿価通りの価値があるとは考えにくく、投資家は銀行の純資産を割り引いて見るため、株価が上がらないのです。PBRは、絶対的な数値を見るのではなく、その企業の過去や平均的なPBRと比べて現在の水準を判断するといった使い方が妥当です。
作成日
:
2021.05.27
最終更新
:
2024.11.22
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