為替操作国とは、米国が「自国の輸出に有利になるよう通貨安へと意図的に誘導している」と認定する他国のことです。米財務省が作成する為替報告書を基に米議会が一方的に認定します。米国は、その為替操作国が改善を講じない場合は、輸入品への高関税など制裁措置を科します。
G20サミットで為替操作は避けるべきだという文言が盛り込まれるなど、各国が通貨安を競うことは望ましくないという世界的なコンセンサスがあります。とはいえ、この為替操作国の認定は、米国が自国の法律に基づいて独自に判断するものです。その基準は「米国に対する貿易黒字が200億ドル以上」「一方的な為替介入による外貨購入を1年で6か月以上繰り返し行い、この金額がGDPの2%以上」「経常黒字がGDP比2%以上」といった項目のうち、二つに該当すれば監視リストの対象に、全て該当すれば為替操作国に認定される可能性があります。
近年では2016年4月に、中国、台湾、韓国、日本、ドイツが監視リストの対象となり、それ以降にはスイス、インド、アイルランド、イタリア、ベトナム、シンガポール、マレーシアも追加されました。歴史的に見ると、中国は1994年に一度為替操作国に認定され、それ以降はどの国も認定されていませんでしたが、2019年8月に二度目の為替操作国に認定されました。
2019年8月に決められた中国の為替操作国認定は、その5か月後の2020年1月に解除されました。これは米中貿易交渉の第一段階合意の署名に合わせたものだといわれています。第一段階合意には、中国の通貨政策の透明性強化が盛り込まれるということで、為替操作国の認定は解除され、再び監視リスト入りする運びとなりました。
作成日
:
2021.06.18
最終更新
:
2024.11.20
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