制度信用取引とは、株式取引における信用取引の一種で、証券業界全体で共通のルールを設けて運用されている取引形態のことです。これとは逆に、証券会社がそれぞれ独自のルールを設定して提供しているのが一般信用取引です。
信用取引では投資家が証券会社から株式や資金を借りて取引を行いますが、制度信用取引の場合は証券会社も同様に株式や資金を証券金融会社と呼ばれる専門の金融機関から借ります。証券会社が調達したものを、投資家は間接的に利用します。
投資家にとっては制度信用取引であっても一般信用取引であっても、外見上の違いはあまりありません。投資家にとって大きな違いになるのは、返済期限や取引コストです。制度信用取引は原則として6か月が期限なので、長くても6か月以内にトレードを終える必要があります。信用売り(カラ売り)は「ショート」と呼ばれるように短期トレードであることが多いので、この期間で足りる可能性もありますが、株価が思惑通り下落しなかった場合は持ち続けることができません。一般信用取引の場合は、各証券会社が返済期限を定めるため、一般的に制度信用取引よりも長期間ポジションを保有することができます。
制度信用取引のメリットは、一般的に一般信用取引よりも取引コストが安いことです。
制度信用取引には「逆日歩(ぎゃくひぶ)」といって、トレード開始時には発生するかどうかが確定しないコストがあります。逆日歩は信用取引が活発になることにより証券会社側で株式が足りなくなったときに、それを調達するコストのことです。当該銘柄の信用取引量によって発生の有無が決まるため事前に考慮できない点が厄介です。その意味でも、信用取引は長期的に取り組むものではなく、短期トレード向きのシステムだといえます。
もう一つ注意が必要なのは、制度信用取引では取引銘柄に制約があることです。証券取引所が選定した銘柄のみなので、特にカラ売りを仕掛けたい場合はその銘柄が制度信用取引の対象銘柄であるかどうかの確認が必要です。
作成日
:
2021.06.23
最終更新
:
2024.11.21
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