量的緩和政策とは、中央銀行が市中に供給する資金の量を増やし、金融市場の安定や景気の底上げを図る金融政策のことです。英語では「Quantitative Easing」といい、QEという略語がよく用いられます。
日本では、「ゼロ金利政策」を導入しても景気回復が進まなかったことから、2001年3月に「量的緩和政策」が開始されました。市中銀行が日本銀行に開いている当座預金口座残高の合計額を5兆円とする目標を設定し、金融機関から国債等を買い入れ、資金を大量供給したのです。その目標額は、一時は30~35兆円程度まで増加しました。
量的緩和政策により、日銀当座預金口座残高は増加しましたが、企業や個人の預金残高が増えたわけではありません。世の中に出回るお金の量は、銀行が新規に貸し出さないことには増えないので、日銀が直接操作することはできないのです。量的緩和の効果は、あくまでも銀行の「貸し出し態度」への働きかけにとどまる弱いもので、実体経済に効果を及ぼすまでには長い時間がかかりました。
量的緩和政策を導入したのは日銀だけではなく、米連邦準備制度理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)、イングランド銀行(BOE)なども実施しています。また、インドやタイ、韓国、チリ、メキシコといった新興国にも、量的緩和政策採用の動きが広まっています。
量的緩和政策によって景気が上向いていけば、今度は量的緩和政策からの離脱が進められていくことになります。資産縮小を意味する「テーパリング」という言葉が聞かれるようになると、金融引き締め警戒から金融市場は動揺しやすくなります。個人投資家は下落リスクに警戒が必要です。
作成日
:
2021.07.16
最終更新
:
2024.11.15
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