ディナポリ氏は、フィボナッチ比率の活用方法に加えて、トレンド方向を把握する方法を複数紹介していますが、日本では、本来の位置から未来にずらした移動平均線(DMA:Displaced Moving Average)を用いる「シングルペネトレーション」の手法が有名です。
DMAを未来にずらすことにより、現時点の足で見ると過去の移動平均線が遅れて表示されていることになり、DMAとローソク足が重なりにくくなります。この特徴を利用して、DMAとローソク足が重ならない状態が続いた場合を強いトレンドとみなし、フィボナッチリトレースメントから算出した押し目・戻り目でエントリーを行います。
ディナポリ手法では、短期・中期・長期の3本のDMAを用いられますが、シングルペネトレーションではこのうち短期線が使用されます。
短期線 | 3期間のSMAを、3期間先行させる |
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中期線 | 7期間のSMAを、5期間先行させる |
長期線 | 25期間のSMAを、5期間先行させる |
シングルペネトレーションでは、相場が一方向に進み、DMAを割り込むことなくローソク足が連続して8本以上示現している状態を「スラスト」と呼びます。このスラストによって大きなトレンドが発生しているかどうかを判断し、上昇トレンドであれば押し目、下降トレンドであれば戻り目でトレンドフォローのエントリーを行います。
エントリーポイントの算出に使われるのがフィボナッチリトレースメントです。フィボナッチリトレースメントは、任意に選んだ起点と終点(一つの波動)に対して、その値幅に対する23.6%、38.2%、 50%、61.8%などの押し目(戻り目)の水準を表示するテクニカル指標で、ディナポリ手法では38.2%から61.8%の間でエントリーを行うことが推奨されています。
相場の世界にある「ちゃぶつき」という言葉は、買った直後に下がり、売った直後に上がってしまうといったように、トレードがうまく機能していない状態を意味します。ディナポリ手法にもこの「ちゃぶつき」という概念があり、こちらは現在レートとDMAが交差してスラストが途切れることを指します。スラストが途切れるとエントリーチャンスとはならないため、ディナポリ手法の「ちゃぶつき」はトレード見送りの判断になります。ただし、DMAは移動平均線を遅らせて表示させたものであるため、通常の移動平均線を使う場合よりも、ちゃぶつきが発生する頻度は低くなります。
作成日
:
2021.08.17
最終更新
:
2024.11.22
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