「両建てって本当に必勝法なの?」「海外FXなら両建てが自由って聞いたけど、実際どうなの?」こんな疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。
FXの取引手法のひとつである両建ては、相場の急変動時でもリスクを抑えられる便利な方法です。特にゼロカットシステムとハイレバレッジを活用できる海外FXなら、両建てのメリットを最大限に活かすことができます。
ただし、両建てにはメリットだけでなく、注意しなければならないリスクも存在するので注意しなければなりません。この記事では、両建ての基本から効果的な活用方法、そして注意点まで詳しく解説していきます。
両建てとは、同じ通貨ペアに対して「買い(ロング)」と「売り(ショート)」のポジションを同時に保有する取引手法です。
一般的には、相場の上昇を見込んで買いポジションを持つか、下落を見込んで売りポジションを持つか、どちらか一方で取引を行うことが多いでしょう。これに対して両建てでは、買いと売りの両方を持つことで、相場の変動にかかわらず、損益の一部を固定する目的などで使われます。
両建ては主に以下のような場面で活用されます。
あくまで「損失の確定を先延ばしにする手段」であり、利益確定や損切りの代替とは異なる点に注意が必要です。
例えば、ドル円で1ロットの買いポジションを持っている状態で、同じタイミングで1ロットの売りポジションを持つと、相場が上がっても下がっても、含み損益はほぼ相殺されます。この状態は「損益がロックされた」と呼ばれることもあります。
ただし、完全に損益がゼロになるわけではありません。スプレッドの差やスワップポイントなど、実質的なコストが継続的に発生するため、長期的に維持する場合にはコスト負担が大きくなる点にも注意が必要です。
SNSや動画サイトでは、両建てが「必勝法」または「それに近い手法」として紹介されることがあります。まずは、両建てが本当に必勝法か必勝法に近い取引手法かを見ていきましょう。
両建てが「必勝法」とされる背景には、リスクを回避できているように見える構造があります。例えばロングとショートを同時に保有すれば、相場がどちらに動いても含み損益が相殺されて、損失が即時に確定しないという特徴があります。
実際、100pips相場が上昇した場合、ショートポジションには100pipsの含み損が発生しますが、同時にロングポジションには100pipsの含み益が出ます。このように、一方の損失をもう一方の利益でカバーできているように見えることが、安心感や安定感につながり、初心者にとって魅力的に映る要因です。
また、両建てを「必勝法」として紹介することで、初心者の注目を集めやすく、SNSやブログなどで投稿の表示回数を稼ぎやすいという意図もあると考えられます。都合の良い部分だけが切り取られて広まりやすいため、実態以上に魅力的に見えてしまうのです。
結論から言えば、両建ては必勝法ではなく、むしろ高度な判断力が求められる上級者向けの戦略です。たしかに、一時的に含み損益を固定できるという点で安心感はあるかもしれませんが、最終的にはどちらかのポジションを決済してポジションを解消する必要があり、その「解除のタイミング」が非常に難しいのです。
例えば、両建てをした直後に相場が上昇したとしましょう。今後の反転を見込んでロングポジションを先に決済し、ショートポジションだけを残した場合、もしも上昇が継続すれば、そのショートポジションは含み損を拡大していきます。一方で、上昇トレンドが続くと判断してショートポジションを決済した場合でも、仮にそのブレイクが「ダマシ」であった場合、再び価格が反転し、今度はロング側で損失を抱えるリスクもあります。
このように、両建てを成功させるには相場の転換点を高精度で見極める裁量力が不可欠です。加えて、両建てではポジションを2つ同時に保有することになるため、スプレッドやスワップなどの取引コストも通常の2倍かかります。この点も考慮しなければ、かえって損失が膨らむ結果になりかねません。
したがって、両建ては「相場のどちらに動くか分からないからとりあえず保有する」というような使い方には向きません。明確な戦略と経験に裏付けられた判断ができるトレーダーにとってのみ、有効に機能する可能性がある手法です。
両建ては「必勝法」とは言えませんが、一定のメリットがあることは事実です。特に注目すべきは、「取引戦略の幅が広がること」と「損失の拡大を抑えられること」の2点です。それぞれのポイントについて詳しく解説します。
これは両建ての最も代表的なメリットです。相場が急変動している局面や、方向感の乏しいレンジ相場において、片方向のトレードよりも柔軟に対応できるため、うまく活用すれば利益拡大のチャンスが広がります。
両建てを行えば、相場の急変時でも含み損益を固定できるため、指標発表前にポジションを決済してリスクを回避する必要がなくなります。その結果、ボラティリティを利益につなげられるケースもあります。
また、レンジ相場においては、上限・下限を見極めながら両建てを活用することで、往復での利益獲得を狙えるなど、戦略の選択肢が増える点も魅力です。
両建てのもう一つの大きなメリットは、含み損の拡大を一時的に抑えられる点です。両建てを行っている間は、スワップポイントを除けば、ポジション全体の評価損益に変動がなくなるため、証拠金維持率も基本的に安定します。
例えば、ドル円のロングポジションを1ロット保有し5万円の含み損が出ている状況で、同じく1ロットのショートポジションを追加すれば、その後の値動きによる含み損の増加は抑えられます。
このように、証拠金維持率の急落を防げることで、強制ロスカットのリスクを回避できる可能性があります。資金管理の一手段として、状況に応じた両建ては有効に機能します。
両建てにはメリットだけでなく、注意すべきデメリットも存在します。特に以下の2点は、両建てを実践するトレーダーであれば誰もが一度は直面する課題と言えるでしょう。
それぞれのデメリットについて見ていきましょう。
両建ての最大のデメリットは、決済の判断が極めて難しい点にあります。理想的なタイミングで一方のポジションを決済できれば利益を最大化できますが、判断を誤ると含み損が実現損に変わり、大きな損失を招く可能性があります。
また、「損失の拡大を防ぐ目的」で両建てをしても、結果的に不要なポジションを抱え続けてしまい、スワップの負担や精神的なプレッシャーが増すケースも少なくありません。
特に初心者の場合、明確なシナリオや出口戦略がないまま両建てを使うと、単なる一時しのぎに終わり、損失を長引かせる原因になりがちです。活用する際は、「なぜ両建てをするのか」「いつ・どの条件で決済するのか」を事前に明確にしておくことが重要です。
両建てでは、値動きによる含み損益は相殺されるため一見リスクが抑えられているように見えますが、2つのポジションを同時に保有することで取引コストは確実に増加します。スプレッドや取引手数料が単純に2倍となるため、コスト面での負担は無視できません。
また、基本的に同一銘柄のスワップポイントはプラススワップ方向のプラスよりマイナススワップが大きくなるので、スワップポイント分損失が発生することにも注意が必要です。
XS.com(エックスエス)では、すべての口座でスワップフリーが提供されています。
対象は一部の銘柄に限定され、適用期間も最大10日間となりますが、長期保有においてマイナススワップを気にせずに取引できるため、有利な運用が可能です。
ここまで両建てについて解説してきました。両建てには特有の戦略を立てられるメリットがある一方で、ポジションを解消するタイミングが難しいというデメリットもあります。そのため、どのような状況で活用すべきか迷う人もいるでしょう。
そこで、両建ての活用法の例を5つ紹介したいと思います。
相場の急変動時に両建て戦略を採用することで多くのメリットが得られます。
例えばテイクプロフィットやストップロス到達までに想定以上の時間が掛かり、ポジション保有中に経済指標の発表を跨ぎそうになった時に両建てをしておけばロスカットや損失への耐性が向上します。
経済指標発表後に逆行したとしても、一時的な値動きにとどまれば元のレートに戻った時に両建てを解除することでロスカットを避けられます。ハイレバレッジで取引できる海外FXならではの戦略とも言えるでしょう。
両建ての活用法として、レンジ内で両建てし、レジスタンスやサポートで決済する方法もあります。損益が発生しないポジションを持ちながら反発やレンジブレイクを見て決済するという戦略です。
例えば、レジスタンスで反発すると判断すればロングポジションを利確しショートポジションを保有し続け、ブレイクすると判断すればショートポジションを損切りしロングポジションの含み益を伸ばします。
相場の7割はレンジ相場とも言われるほどレンジ相場の頻度は高いので上手く活用できれば利益を最大限に取れる方法です。ハイレバレッジで取引できる海外FXでは特に効果が高いと言える一方で、高い技術が要求される方法とも言えます。
両建ては、長期保有のポジションと組み合わせて活用されることもあります。相場は一方向に進み続けるわけではなく、押し目や戻りを挟みながら動くため、長期ポジションを持っている間に短期的な逆行が発生する場面があります。
例えば、長期の上昇トレンド中にロングを保有している場合、一時的な押し目でショートを建てて利益を狙うことで、逆行中の含み益を固定しながら追加の収益を狙うことが可能です。再び上昇すればショートを利確し、単一ポジションよりも大きな利益を残せる場合があります。
もし逆行が押し目ではなくトレンド転換だった場合でも、両建て開始時点の含み益で決済すれば損失を回避できます。ただし、両建ての開始と解除のタイミングを誤ると利益を減らす結果になるため、慎重な判断が求められます。とはいえ、元のポジションに含み益がある状態で行うことで、過度な損失にはつながりにくいという利点もあります。
両建てには、損益を翌年に持ち越す手段として活用されるケースもあります。特にスイングトレードなど、ある程度ポジションを保有する期間がある取引スタイルにおいて、年末のタイミングで使われることがあります。FXの利益にかかる税金は、1月1日から12月31日までに確定した損益が対象となります。そのため、年内にポジションを決済すれば当年分の課税対象となりますが、未決済のポジションは含まれません。
この仕組みを利用し、例えば12月末に含み益が出ている場合、同じ数量の反対ポジションを持つことで損益を固定し、決済を翌年以降にずらすといった方法が取られることもあります。
結果的に、損益の確定を翌年に回すことで、通年の課税対象額を調整する目的で用いられることがあります。
ただし、こうした方法には翌年の相場や自身の収益状況によって不確定要素が多く含まれるため、運用には十分な注意が必要です。あくまで、両建ての活用方法のひとつとして知られている例にすぎません。
必勝法はありませんが、ゼロカットやボーナスが存在する海外FXにおいて、以下の両建てのように使い方によっては必ず勝てる戦略となる可能性があります。
しかし、海外FXではこれら3種類の両建ては全て禁止されています。ここからはどのような方法か、なぜ禁止されているか見ていきましょう。
ゼロカットを利用した2口座間の両建ては、多くの海外FX業者で禁止されており、実行すれば利益没収や口座凍結のリスクがあります。理論上は稼げる戦略のように見えますが、絶対に行うべきではありません。
ゼロカットシステムとは、相場の急変動などによって万が一口座残高がマイナスになった場合でも、マイナス分を海外FX業者が負担してくれる仕組みです。
例えば30万円入金して口座Aでドル円を10ロット買い、口座Bでドル円を10ロット売ったとします。その後100pips上昇すれば口座Aは50万円の利益、口座Bはゼロカットにより30万円の損失となり差し引き20万円のプラスとなります。入金ボーナスを提供している業者で行えばさらに稼ぎやすいでしょう。
しかし、実際にこの手法を行うと口座凍結や利益没収というペナルティが課されます。なぜなら、基本的に海外FX業者では複数口座を利用した両建てを禁止されているからです。
利益没収になってしまうと、ゼロカットになった方の損失だけが残るので絶対に行わないようにしましょう。
海外FXで複数口座を持つ利点とは?上手に使い分ける方法や注意点を解説!
海外FXで複数口座を活用すると、リスク分散や取引戦略の多様化に役立ちますが、口座管理が煩雑になることもあります。本記事では、トレーダーのスタイルや手法に応じた効果的な使い分けの方法や注意点を解説。さらに、トレード環境を最適化する複数口座の使用例も分かりやすく紹介します。
異なる業者を使った両建ても、多くの海外FX業者で禁止されています。業者を跨いで行った場合でも、意図的なリスク回避やゼロカット制度の悪用と見なされ、口座凍結や利益没収といったペナルティを受ける可能性が高いです。
また、異なる業者間での両建てに該当するポジションについては、ゼロカットの対象外とする業者も存在します。意図的な両建てと判断されれば、本来適用されるはずの補填が拒否されるケースもあるため、安易な運用は避けるべきです。
アービトラージ(裁定取引)を目的とした両建ても、海外FX業者では禁止行為とされています。特に、レートエラーやサーバー遅延などによって発生した一時的な価格差を狙って行う取引は、明確に利用規約違反とみなされます。
レートエラーとは、システムトラブルなどによって通常ではあり得ない価格が一時的に表示される現象です。このような異常レートを利用して利益を得ようとすると、口座凍結や利益取消の対象になる可能性が高くなります。海外FXでは、正当な取引以外の抜け道を使った手法は基本的に認められていないことを理解しておく必要があります。
禁止されている両建てのパターンを紹介しましたが、両建てには他にも以下の注意点があります。
それぞれ解説していきます。
両建てすると為替変動による証拠金維持率の増減は無くなるが、スプレッドやマイナススワップによって変動します。
エントリー時の実効レバレッジ水準によっては両建て中であっても強制ロスカットになる可能性があるので注意が必要です。
異なるFX業者を利用した両建ては、たとえ業者が別であっても多くの場合、取引規約で明確に禁止されています。それにもかかわらず、「業者が異なれば発覚しにくいのでは」と考える人もいるかもしれません。
しかし実際には、取引プラットフォームや提携するLP(リクイディティ・プロバイダー)を通じて、高い確率で取引の相関が検知される可能性があります。両建てのルールに抵触しないように十分気を付けましょう。
両建てを利用すれば含み損益の変動を抑えられるので、強制ロスカットを避けるために両建てを利用する人もいます。しかし、実際には両建てで強制ロスカットを避けるのは難しく、一時しのぎにしかならない可能性が高いです。
両建てはいつか外さなければなりませんが、その両建てを解除する決済のタイミングが非常にシビアであり、少しでも読み間違えれば強制ロスカットされるからです。
例えばショートポジション保有時に含み損を抱えてロスカット水準ギリギリでロングポジションを建てて両建てしたとします。この場合、ロングポジションに利益が乗っている状態で決済して両建てを外した上でその直後に価格が下落しなければやがて強制ロスカットになってしまいます。
海外FXにおいて両建ては、うまく活用できれば含み損益の固定や節税の手段として機能します。しかし、解除する際のタイミングなど難易度が高く、理想通りのトレードを実現するのは難しいものです。
「良いって聞いたから」と何となく両建てを使ったり、一時凌ぎで使ったりするのではなく、両建てについてしっかり理解を深めて戦略をきちんとたて、デモトレードなどで練習した上で自分にあっていると感じたら使ってみるようにしましょう。
XS.com(エックスエス)では、スワップフリーに対応しており、両建て戦略におけるスワップコストを抑えることが可能です。さらに、デモ口座も無料で開設できるため、リスクを負うことなく両建ての練習を行えます。「実際に試してから判断したい」という方にとって、最初の一歩を踏み出しやすい取引環境が整っているといえるでしょう。
作成日
:
2025.06.20
最終更新
:
2025.07.01
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