サーキットブレーカーとは、金融市場が瞬間的に激しく変動した際に、取引所が強制的に値幅制限や取引停止を行う仕組みのことです。一時的に取引を中断することで、狼狽する投資家に冷静な判断を促し、市場を安定させるために発動されます。本来は電気回路の遮断機を意味し、それから転じて金融の世界でも用いられています。米国株式のブラックマンデー(1987年)をきっかけにニューヨーク証券取引所で開始され、1994年には東京証券取引所でも導入されました。
株式取引については、それぞれの銘柄の株価に応じて値幅制限が定められており、それに到達した際にはストップ高・ストップ安となります。株価が値幅制限を超えて変動することはなく、取引の中断も起こりません。
他方、株価指数先物・オプション、有価証券オプション、国債先物・オプションなどについては、値幅制限を超えて上昇・下降した場合は、取引が10分間中断されます。中断時間が経過した後は、制限値幅を拡大した上で取引が再開されるという仕組みです。サーキットブレーカーは金融商品取引所だけでなく、商品取引所でも導入されています。
FXに関しては、取引所取引ではなくFX会社との相対取引となるのが一般的であり、また外国為替取引が停止すると経済活動への影響が大きくなってしまうため、サーキットブレーカー制度はありません。
サーキットブレーカーは、経済・地政学上の予期せぬショックがきっかけとなり、金融市場が激しく動揺した際に発動します。歴史をたどれば、2001年米国同時多発テロ翌日の9月12日に、米国株式市場が休場となった影響を受け、日経平均先物が暴落し取引中断となりました。2008年のサブプライムバブル崩壊や、2011年の東日本大震災、2016年のブレグジットの際にも、株価指数先物の取引中断が起こりました。2020年の新型コロナウイルスのパンデミックでは投資家の恐怖が極限に達し、日米の取引所でそれまでに例がないほど頻繁にサーキットブレーカーが発動しました。
作成日
:
2021.05.07
最終更新
:
2024.11.18
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